流れ境界条件

流れ境界条件は通常、モデルを開くときの数や状態を表します。3D モデルの場合、これらの条件をモデル サーフェスに適用できます。2D モデルの場合は、これらの条件をエッジに適用できます。

すべての境界条件の適用には境界条件クイック編集ダイアログを使用します。クイック編集ダイアログを開く方法にはいくつかあります:

流速

流速は流入口境界条件としてよく使われます。この条件は選択されたサーフェスに対して垂直に、または直交座標で指定できます。流速は向きをモデルの外側方向に定義すれば流出口に適用できます。

選択したサーフェスに垂直に流速を割り当てるには:

 

  1. タイプ流速に設定し、単位タイプを設定します。
  2. 時間依存性を設定します(定常または非定常)。
  3. 方法垂直に設定します。
  4. 必要があれば、[方向反転]をクリックして流れの方向を変更することもできます。
  5. 必要があれば、 [空間の変化] [十分に発達した]または[直線変化]に設定します(デフォルトは[一定])。
  6. [流速]フィールドに値を入力します。
  7. [適用]をクリックします。

流速境界条件の割り当ての例

流速成分を適用するには

  1. 方法成分に変更します。
  2. 指定する成分をチェックします。
  3. フィールドに各成分の流速値を入力します。
  4. [適用]をクリックします。

動く地面をシミュレートするには

車に対する地面の影響など、地上ベースの空力アプリケーションの多くを正しくモデル化するには、オブジェクトと地面の間の流速の違いをシミュレートする必要があります。地面の相対的動きを無視すると、オブジェクトと地面の間の空力的相互関係が正しく計算されません。

  1. 地面を選択し、境界条件タイプとして流速を選択します。
  2. 希望の単位を指定します。
  3. 方法成分に設定します。
  4. 流れの方向に対応する流速成分をチェックし、値を指定します。(方向は通常流入口の空気の方向と同じであり、オブジェクトの移動方向と反対です。オブジェクトは解析内では動かないため、流れと地面がオブジェクトと相対的に動きます。)

解析を実行すると、地面に適用された速度がオブジェクトと地面の間の相対的な空気の流れをシミュレートします。

回転速度

この条件は壁面に回転速度を適用し、流体中の回転物体をシミュレートする場合に使用します。例として、コンピュータのハードドライブ内の回転ディスクなどがあります。この条件は、回転によって生じる流れ(ポンプ回転翼などにおいて見られるような)を含まず、回転機械の条件ではない。(そのようなアプリケーションには回転領域を使用します)。

回転速度条件を適用するには:

  1. タイプ相対速度に設定し、単位タイプを設定します。
  2. 時間依存性を設定します(定常または非定常)。
  3. 回転速度フィールドに流速を入力します。
  4. 回転軸を設定するには、まず軸上の位置を設定します。ポップアウトをクリックし、サーフェスを選択します。選択されたサーフェスの重心が軸上のポイントになります。
  5. 軸方向 を設定するには、ポップアウトをクリックします。軸方向として直交座標を選択するには、グローバルX、Y、またはZ軸を選択します。
  6. 方向をグラフィックス表示から設定するには、ピックボタンをクリックしてサーフェスを選択します。軸は選択されたサーフェスに垂直になる。
  7. [適用]をクリックします。

体積流量

体積流量は平面の開口部に適用されます。流入口条件として使用されることが最も多く、密度が解析全体で一定の場合に特に便利です。体積流量は適用された方向がモデル外の場合流出口に適用できます。

体積流量 条件を適用するには:

  1. 種類体積流量に設定し、単位タイプを設定します。
  2. 時間依存性を設定します(定常または非定常)。
  3. 体積流量フィールドに値を入力します。
  4. オプションで、方向反転をクリックして流れの方向を変更することもできます。
  5. 必要があれば、十分に発達したプロファイルを定義することもできます( [十分に発達した] をクリック)。
  6. [適用]をクリックします。
注: 1度に複数のサーフェスに適用する場合、流れ方向は同じでなくてはなりません。
注: 流体の特性が標準条件であれば、境界条件として標準的な流速を適用できます。流体の特性が標準とは異なる場合、実際の流速条件に合わせて流速条件を変換してください。これは、標準の流体の密度と実際の流体の密度の比を標準流速に掛けることによって行います。

質量流量

質量流量は平面の流入口または流出口に適用されます。流入口境界条件として最もよく使われます。質量流量は適用された方向がモデル外の場合流出口に適用できます。

質量流量 条件を適用するには:

  1. 種類質量流量に設定し、単位タイプを設定します。
  2. 時間依存性を設定します(定常または非定常)。
  3. 質量流量フィールドに値を入力します。
  4. オプションで、方向反転をクリックして流れの方向を変更することもできます。
  5. [適用]をクリックします。

1度に複数のサーフェスに適用する場合、流れ方向は同じでなくてはなりません。

圧力

圧力境界条件は通常流出口条件として使用されます。推奨される(そして最も便利な)流出口条件は、 静的、ゲージ 圧力で値が 0 の条件です。これを適用すると、流出口にこれ以外の条件は必要ありません。

ゼロでない圧力条件は流入口条件として適用できます。装置を通る際の圧力損失がわかっている場合、圧力損失を流入口に(静的ゲージ圧として)指定し、静的ゲージ圧0を流出口に指定します。

圧力境界条件の割り当て

  1. タイプ圧力に設定し、単位タイプを設定します。
  2. 時間依存性を設定します(定常または非定常)。
  3. 圧力フィールドに値を入力します。
  4. ゲージ圧または絶対圧のいずれかを選択します。
  5. 静温度または全温度を選択します。
  6. [適用]をクリックします。

圧力境界条件の割り当ての例

ゲージ圧は相対圧力で、デフォルトとなっています。絶対圧はゲージ圧と材料環境圧力の合計値です。

全圧は静圧と動圧の合計値で、通常は圧縮性解析に使用されます。一部の 回転機械 アプリケーションなど、特定の解析の場合、全圧は物理的に一定しており、静圧と流速が変化します。これらの解析の場合、ゼロ以外の値の全圧境界条件を適用することは、推奨される方策です。

スリップ/対称

スリップ条件は、通常壁でストップする流れを壁面に沿って流れるようにします。ただし、流体は壁を通って流れることはできません。

スリップ壁面は、対称面を定義する際にも役立ちます。対称サーフェスは、座標系に対して平行である必要はありません。

スリップ境界条件を適用するには:

  1. 種類スリップ/対称に設定します。
  2. [適用]をクリックします。

スリップ境界条件に値を指定する必要はありません。

スリップ/対称境界条件の適用例

スリップ条件は、オイラーの非粘性流れのような非常に粘性の低い流れに利用されます。

注: 軸対称解析では、軸方向に自動的に対称条件が設定され、マニュアルで指定する必要はありません。

不明

これは、境界が開いてはいるが、他の制約が適用されていない「自然な」状態を意味します。

未知は主に圧縮性流れ解析の流出口に使用されます。超音速流れの場合、流出口圧力も流速も知られていません。どちらの条件も流出口で衝撃波あるいは膨張波を生じる可能性があります。

未知境界条件を適用するには:

  1. 種類未知に変更します。
  2. 適用ボタンをクリックします。

未知境界条件に値を指定する必要はありません。

理論的説明

未知境界条件は、混合ノイマン‐ディリクレ(指定値)境界条件が圧力変数に適用されたものです。これは2段階のプロセスで解析に組み込まれます:

  1. 圧力式の行列計算時に、未知境界条件に割り当てられた節点は固定または指定(ディリクレ)として扱われます。
  2. 行列計算後、これらの節点上の値は隣接する値の平均値として再計算され、圧力式にゼロ勾配(ノイマン)条件を強制する結果になります。

未知境界条件の適用例

スカラー

これは、スカラー量の集中を表す、0から1の範囲の単位がない量です。

スカラー境界条件を適用するには:

  1. 種類スカラーに変更します。
  2. 時間依存性を設定します(定常または非定常)。
  3. 値(0から1の範囲)をスカラーフィールドに入力します。
  4. [適用]をクリックします。

湿度

これは、相対湿度を表す、0から1の範囲の単位がない量です(1は湿度100%に対応する)。

湿度境界条件を適用するには:

  1. 種類湿度に変更します。
  2. 時間依存性を設定します(定常または非定常)。
  3. 値(0から1の範囲)を湿度フィールドに入力します。
  4. [適用]をクリックします。

質量率

これは、蒸気または飽和蒸気混合の蒸気の量を表す、0 から 1 の範囲の単位がない量です。1 の値は質量率が 100% で、完全な蒸気を示します。0 の値は質量率が 0% で、純粋な液体を示します。

質量率条件を適用するには:

  1. 種類質量率に設定します。
  2. 時間依存性を設定します(定常または非定常)。
  3. 質量率フィールドに値(0 から 1 の範囲)を入力します。
  4. [適用]をクリックします。

外部ファン

外部ファンもまた、流れを装置に送り込み、送り出す方法の一つです。外部ファンはPQ特性カーブとして定義され、装置の圧力損失に従って変化する流入口流量になります。これは特定のフローパスに対するファンの運転点を決定するのに便利な方法です。

外部ファン条件を適用するには:

  1. タイプ外部ファンに設定し、単位タイプを設定します。
  2. ファンの回転速度を回転速度フィールドに入力します。
  3. 必要に応じて方向反転ボタンで回転方向を変更します。方向は矢印で示されます。
  4. ファン特性編集ボタンをクリックし、ファンカーブを入力します。
    • 定義された行間に新しい行を追加するには、挿入ボタンをクリックします。
    • プロットボタンをクリックし、プロットを表示します。
    • インポートボタンは、カンマ区切りの変数(CSV)ファイルをインポートし、保存ボタンは、カーブ情報をCSVファイルに保存します。
    • 吸込型ファン(流出口において)を入力するには、全ての流量と圧力をマイナス値として入力します。
  5. スリップファクター(0から1の範囲)をスリップファクターフィールドに入力します。
  6. [適用]をクリックします。
注: スリップファクターは、ファンの回転翼の回転速度と流れの回転速度の比です。ファンの効率低下によるスリップは、予想よりも低い流れの回転方向成分を生じさせる原因となります。Autodesk® CFD は、ユーザが定義したファンの回転速度にスリップ ファクタを乗算することで、流れの接線方向の速度成分の解を求めます。既定のスリップ ファクタは 1.0 です。これは、ファンの回転速度と流れの回転速度が同じであることを意味しています。

周期

周期境界条件(周期的な対称)は、軸流回転機械または遠心回転機械、あるいは繰り返されるフィーチャー(流路)のある非回転機械の単一流路のシミュレーション可能にします。

周期境界条件は、常にペアで指定されます。ペアに含まれる2つのメンバーは同じ流れ分布を持ち、形状的に似たものでなければなりません。

周期ペアは、繰返し装置の流入口と流出口に使用されます。

ペア1に周期境界条件を適用するには:

  1. ペア1の最初のサーフェスを選択します。
  2. ペア ID = 1、サイド ID = 1 を設定します。
  3. [適用]をクリックします。
  4. ペア1の2番目のサーフェスを選択します。
  5. ペア ID = 1、サイド ID = 2 を設定します。
  6. [適用]をクリックします。

残りのペアに対しても同じ手順を繰り返します。

周期境界条件は、複数の繰返しフィーチャーの影響を簡易化されたモデルに含めるために有用な方法です。ジオメトリが繰り返すため、各翼列間について、装置の上流部および下流部の流れは同じです。

注: 周期境界条件が適用された場合、メッシュ エンハンスメントは自動的に無効になります。これは解析の安定性を向上するために行われます。メッシュエンハンスメントを有効にするには、メッシュクイック編集ダイアログを開き、エンハンスメントボタンをクリックし、メッシュエンハンスメントを有効ボックスを選択します。