概要 - 冷媒流解析

冷媒流解析では、成形品や金型の解析にさらに時間をかけることなく、冷却回路内の流体の挙動を解析します。

冷媒流解析は、冷却管ネットワークのレイアウトとプロパティを設計してそれらの性能を最適化し、コストを抑える目的で使用します。

注: また、解析を設定して、冷却または冷却(FEM)を含む任意の解析順序から同じ回路結果を取得することもできますが、シミュレーションには成形品や金型の解析が伴い、そのために時間がかかります。

この解析は、さまざまな回路コンポーネントからマイナー損失の影響を確認する場合や、ユーザの設定でソフトウェアにより算出された既定の摩擦係数と、回路設計に固有のものとしてユーザが入力した摩擦係数とを比較する場合に使用します。また、ユーザが定義した特定の温度点以後の温度変化を確認することもできます。平行する冷却管内の場合は、各流出口から流出する冷媒が同じ温度に保たれることを確認します。

制限

冷媒流解析はビーム要素の場合にのみ使用できます。3D の冷却管の場合は、冷却管の中心線を抽出し、ビーム要素としてメッシュ生成します。

冷媒流の結果

この解析からは 2 つの新しい結果が生成されます。

回路のマイナー損失の結果

回路のマイナー損失(K 係数)は、冷却回路内ですべてのエルボ、ベンド、T 接合、拡大、縮小などの結果として生じる、流れに対する抵抗です。正確な結果を得るには、回路の各コンポーネントについて、コンポーネントの製造元から提供されている K 係数を入力します。代わりに書籍に記載されている標準値を参照することもできますが、結果の精度は低くなります。K 係数を入力しない場合、ソルバーは標準値を計算します。値を入力した場合、ソルバーは標準の計算を無視し、ユーザが入力したデータを使用します。この結果は次の目的に使用します。

  • この結果と、ソルバーが標準値を計算した場合の結果とを比較し、標準値が回路のマイナー損失をどれだけ正確にシミュレートしているかを確かめます。
  • 回路のマイナー損失を無視するかどうかを判断します。
  • 複雑な分岐領域でマイナー損失のみを指定した場合に、結果が十分正確かどうかを確認し、回路の残りの部分のマイナー損失についてソルバーに計算を任せます。
回路の摩擦係数の結果

摩擦係数は回路の摩擦損失を決めるもので、冷却管の同等の砂粒粗さ係数(e/D)と、冷却管を流れる流体のレイノルズ数 Re に依存します。ムーディ線図は、摩擦係数に対するレイノルズ数と配管粗さの相関関係を経験的に示すものですが、いくつかの半経験的な相関式があり、それらを使用して、さまざまなレイノルズ数の範囲についてムーディ線図をプログラム可能な形式にまで縮小することができます。既定は、スワミー ジャインの式です。この結果は次の目的に使用します。

  • 配管粗さやさまざまな流量について試す場合は、ソルバーの結果をムーディ線図と直接比較します。
  • 他の近似式の精度を比較した後、それらの冷却解析に使用するものを選択します。