プロダクション シェーダ ライブラリの一部である Matte/Shadow/Reflection マテリアルは、「マット オブジェクト」の作成に使用します。マット オブジェクトは、シーンのバックグラウンド(プレートとも呼ぶ)として使用する写真の中のリアル-ワールドのオブジェクトです。 このマテリアルには、写真のバックグラウンドと 3D シーンを組み合わせるための豊富なオプションが用意されています。たとえば、バンプ マップ、アンビエント オクルージョン、間接光がサポートされています。
用途は以下のとおりです。
上記のすべての場合において、マテリアルはバックグラウンド プレートのオブジェクトを表すマット オブジェクトに適用され、3D オブジェクトは従来のマテリアルを使用します。
追加情報については、[ヘルプ](Help)メニュー [追加ヘルプ](Additional Help) [mr Production Shader Library] [Matte/Shadow Objects and CameraMaps]、および以下の「テクニカル ノート」を参照してください。
Matte/Shadow/Reflection シェーダは、差異に基づいたシェーディングを行います。影になっていない場合にポイントが受けるライトの量を判断し、そのポイントが実際に受けるライトの量と比較し、相対的な差異によってポイントをシェーディングします。
これは、他のオブジェクトの影になっていない、完全にライトが照射されているポイントが、そのライトの実際の強度とはまったく関係なく、既に割り当てられているカラーを返すことを意味します。入射光の半分が遮断されると、完全な強度の絶対量に関係なく、そのポイントは 50 パーセントの強度でシェーディングされます。
Matte/Shadow/Reflection マテリアルの重要な特性は、自己シャドウ、自己オクルージョン、および自己反射が適用されない点と間接光をマテリアル自身に投射しない点です。このマテリアルは、既に自己シャドウや自己反射などが適用された、写真プレートの中の代理オブジェクトとして機能するように設計されているため、これらの効果は自動的に排除されます。ただし、プレート上に既に存在する効果と重複する不要なシャドウや反射を作成することなく、他のオブジェクトにシャドウを投影したり、他のオブジェクトからのシャドウを受けたり、他のオブジェクトを反射することはできます。
この複数のパートで構成される手順では、Matte/Shadow/Reflection マテリアル、Environment/Background Camera Map シェーダ、Environment Probe/Chrome Ball シェーダを使用して 3D オブジェクトと写真を組み合わせる簡単な方法について、段階的に説明します。
前提条件:
HDR 写真が理想的ですが、HDR 以外のイメージも使用できます。
ビューポートを設定するには:
環境を選択します。
バックグラウンドと環境反射を設定するには:
ポップアップ メニューから、[mental ray] [Environment/Background Camera Map]を選択します。
2 つの写真の露出が異なる場合は、一方または両方のマップの[マルチプライヤ](Multiplier)設定を使用して露出を一致させます。
次にバックグラウンド内に既に存在するオブジェクトを表す基本モデルを作成します。最低でもオブジェクトを配置するためのグラウンドとなるシンプルな平面が必要です。
マット オブジェクトとシャドウ投影オブジェクトを設定します。
スカイライトを追加するには:
適切な周辺光カラーがクロム ボールの写真から取得されます。
次に Matte/Shadow/Reflection マテリアルを設定します。
Matte/Shadow/Reflection マテリアルを設定するには:
Environment Switcher に使用されているバックグラウンド マップと同じマップが、インスタンスとしてマテリアルのバックグラウンド マップに配置されます。
スレート マテリアル エディタで、同じマップが両方のコンポーネントに接続されていることを確認できます。
以上で基本設定は完了です。この時点でレンダリングすると、ティーポットがバックグラウンド イメージ上にスーパーインポーズされます。ティーポットの底には、アンビエント オクルージョンによる柔らかいシャドウが表示されるはずです。
次にシーンの照明を調整します。一般に、指向性のシャドウを投影する少なくとも 1 つのキー ライトが必要です。
さらに調整が必要ですが、以上でシーンの設定が完了しました。
これまでは、レンダリングされた 3D コンテンツをレンダラーで直接バックグラウンドの上部に追加していました。一般に、このパートは外部合成プログラムで以下の手順に従って行います。
この場合、マップを別の場所に貼り付けることができるように、[カット](Cut)オプションを指定してボタンを使用します。
シーンに 2 つの Switcher ノードが含まれています。環境で使用されている(透明な黒とクロム ボールを切り替える)ものと、マテリアルで使用されている(透明な黒とカメラ マップを切り替える)ものです。
現時点でレンダリングすると、レンダリング イメージにはバックグラウンドからのすべての反射やライトなどが含まれたままになりますが、バックグラウンド自体は含まれません。シャドウはアルファ チャネルに存在するため、イメージはバックグラウンド イメージの上に直接合成するのに適しています。
上記の手順では、ガンマについては説明しませんでした。
mental ray テクスチャを使用する場合(ビットマップ マップを挿入するのではなく、大きな[参照](Browse)ボタンを使用してビットマップ ファイルを直接参照する場合)、ガンマ補正のワークフローを使用して優れたレンダリング結果を得るには、このビットマップのガンマを明示的に、適切な[Reverse Gamma Correction]パラメータに設定する必要があります。
マット マテリアルのカラーまたはマップを設定します。シーンのバックグラウンドを使用するには、マップ ボタンをクリックし、シーンから参照して、環境マップを選択します。このボタンはショートカットです。[マップ](Maps)ロールアウトでバックグラウンド マップを割り当てることもできます。
マテリアルの不透明度。既定値は 1.0 です。
不透明度マップを割り当てるにはマップ ボタンをクリックします。このボタンはショートカットです。[マップ](Maps)ロールアウトで不透明度マップを割り当てることもできます。
マップ ボタンをクリックすると、バンプ マップが割り当てられます。このボタンはショートカットです。[マップ](Maps)ロールアウトでバンプ マップを割り当てることもできます。
バンプ マップのマルチプライヤ。既定値は 0.3 です。
チェック マークを付けると、サーフェスは他からシャドウを受けることができます。既定値ではチェックマークが付いています。
[Shadow Casting Lights List]のチェック マークをはずすと、すべてのライトがサーフェスにシャドウを投じます。
シーン内の環境ライトの量。実際には、シャドウの暗さを表します。既定値は 0.2 です。
mental ray のイメージ ベース ライティング(IBL)機能がアクティブになっている場合は、[マット](Matte)、[シャドウ](Shadow)、[反射](Reflection)マテリアルもスカイライトを使用してシャドウを生成します。この場合、[周囲光 / シャドウ強度](Ambient / Shadow Intensity)設定を使用する必要はありません。値を 0.0 にするだけです。ただし、IBL を使用しない場合はマテリアルはスカイライトからのライトを使用できないため、このようなシャドウはアンビエント オクルージョン機能を使用する必要があります。
そのため、スカイライトおよび IBL がオフの状態でシェーダを使用する場合、[周囲光 / シャドウ強度](Ambient / Shadow Intensity)の値はスカイライトが提供するライトのレベルと同様の値にします。
この設定の単位値は、照明単位に応じて異なります。[mr フォトグラフィック露出制御](mr Photographic Exposure Control)を使用し、[物理スケール](Physical Scale)を[物理単位(cd/m2)](Physical Units (cd/m2))に設定した場合、この値は物理単位になり、数百単位(または[mental ray Sun & Sky](mental ray Sun & Sky)によって照射された屋外のショットの場合は数千単位)になる可能性があります。 ただし、露出コントロールを使用しない場合、または[物理スケール](Physical Scale)を[単位なし](Unitless)に設定した場合、このパラメータは 0 が黒、1 が白の「従来の」単位スペースになります。
シャドウのカラーまたはマップを設定します。シャドウに正確な色を付ける場合は、中間色を使用します。
周囲光カラー マップを割り当てるにはマップ ボタンをクリックします。このボタンはショートカットです。[マップ](Maps)ロールアウトで周囲光カラー マップを割り当てることもできます。
チェック マークを付けると、[Add][Replace][削除(Delete)]ボタンを使用してリストを編集し、サーフェスにシャドウを投影するライトを指定できます。ライト リストを有効にするには、[Receive Shadows]にもチェック マークを付ける必要があります。
チェック マークをはずすし、[Receive Shadows]にチェック マークを付けると、シーン内のすべてのライトがサーフェスにシャドウを投影します。
チェック マークを付けると、アンビエント オクルージョンがサーフェスに影響を及ぼします。既定値ではチェックマークが付いています。
照射されるアンビエント オクルージョン レイの数。既定値は 8 です。
アンビエント オクルージョン レイが到達する距離。0.0 を指定すると、レイの距離は無制限になります。短いレイを使用すると、パフォーマンスは向上しますが、アンビエント オクルージョンの効果が限定されます。既定値では 50.0 です。
アンビエント オクルージョンによるシャドウの暗さ。既定値の値は黒ですが、明るいカラーを使用してシェーディング効果を抑えることができます。
チェック マークを付けると、サーフェスが周囲を反射します。既定値ではチェックマークが付いていません。
反射がこのカラーに色付けされます。反射に正確な色を付ける場合は、中間色を使用します。
反射マップを割り当てるにはマップ ボタンをクリックします。このボタンはショートカットです。[マップ](Maps)ロールアウトで反射マップを割り当てることもできます。
反射の減色。この量は、反射が追加される前にプレートから削除されます。黒を指定した場合、何も削除されず、反射がプレートの上部に純粋に付加的に追加されます。50% グレーを指定した場合、プレートのピクセルがその強度の 50% に減衰し、反射がプレートの上部に追加されます。
プレートに反射の多いエリアがあり、人工的な反射を新たに追加する前にその反射を削除する必要のある場合に、この設定を使用します。
反射の光沢。既定値は 1.0 です。
光沢マップを割り当てるにはマップ ボタンをクリックします。このボタンはショートカットです。光沢マップは、[マップ](Maps)ロールアウトでも割り当てることができます。
光沢反射サンプルの数。既定値は 8 です。
既定値の 0.0 以外の値を指定すると、反射が投射される距離が制限されます。
最大距離での反射のフォールオフ カーブ。低い値を指定すると、迅速なフォールオフが発生します。既定値は 2.0 です。
チェック マークを付けると、間接光(ファイナル ギャザーとグローバル イルミネーション)が収集され、[Indirect Illumination Multiplier]の値(以下を参照)によってスケールされます。既定値ではチェックマークが付いています。
収集された間接光のマルチプライヤ。既定値は 1.0 です。
チェック マークを付けると、直接光によって照射されたサーフェスがレンダリングされます。既定値ではチェックマークが付いていません。
[Illuminating Lights List]のチェック マークをはずすと、シーン内のすべてのライトがサーフェスを照射します。
チェック マークを付けると、[Add][Replace][削除(Delete)]ボタンを使用してリストを編集し、サーフェスを照射するライトを指定できます。ライト リストを有効にするには、[Receive Direct Illumination]にもチェック マークを付ける必要があります。
このロールアウトを使用すると、マップまたはシェーダを Matte/Shadow/Reflection パラメータの多くに割り当てることができます。パラメータが最初に表示されるロールアウトでマップおよびシェーダを割り当てることもできます。このロールアウトの主な価値は、マップを削除することなく、チェック ボックスを使用してパラメータのシェーダを切り替えることもできるという点です。
各シェーダ ボタンの右にあるボタンは、複数のパラメータを返すシェーダに使用します。複数のパラメータを返すシェーダがコンポーネントに割り当てられている場合は、ボタンのツールチップにパラメータ名が表示されます。