Ink 'n Paint マテリアルは、マンガ効果を作り出します。他のほとんどのマテリアルでは 3 次元のリアルな効果を得られますが、Ink n Paint では「インクで塗られた」境界線を使用した平面的なシェーディングが得られます。
Ink 'n Paint を使用してレンダリングした蛇
Ink 'n Paint はマテリアルなので、3D シェーディング オブジェクトとフラット シェーディングのマンガ オブジェクトを結合するシーンを作成できます。
リアルなシェーディングとマンガのシェーディングを結合したレンダリング
Ink 'n Paint マテリアルのインクとペイントは個別のコンポーネントで、それぞれ設定をカスタマイズできます。
左: ペイント コンポーネントのみ
右: インク コンポーネントのみ
Ink 'n Paint を複数のオブジェクトで使用できますが、通常次のようにすると最適に動作します。
面やポリゴンに異なるマテリアル ID を適用することもできますが、通常、[要素](Element)サブオブジェクト レベルでこの割り当てを行います。
必要に応じて、[インク](Ink)コントロールも調整します。
一般的な問題とその解決法について、次に示します。
おそらく[オーバーラップ バイアス](Overlap Bias)の値が高すぎます。値を小さくします。[アンダーラップ](Underlap)がオンの場合は、バイアスが高すぎる可能性もあります。
その他の原因としては、自己交差しているオブジェクトや、小さいオブジェクトをアタッチして作成したオブジェクトがあるために、交差面が生じていることが考えられます。この場合は、[マテリアル ID](Mat ID)または[スムージング グループ](SmGroup)のインク コンポーネントを使用するようにオブジェクトを設定します。要素が既に異なるマテリアル ID を持っている場合は、[隣接面のみ](Only Adjacent Faces)をオフにしてみてください。
[オーバーラップ バイアス](Overlap Bias)または[アンダーラップ バイアス](Underlap bias)が低すぎる可能性があります。値を高くしてください。
どのインク コンポーネントがかすれているかを調べて、そのバイアス コントロールを調整します。
[クランプ](Clamp)をオンにします。また、ライト レベルの値を減らして効果を確認します。それでも効果がない場合は、[変更可能幅](Variable Width)をオフにしてから[インクの幅](Ink Width)コンポーネントにフォールオフ マップを割り当てます。
マテリアルを両面にします。マテリアルを選択面の両側に適用します。
ジオメトリの面にマテリアルを適用します。マテリアルでマップを使用している場合、マッピング座標は不要です。マップは、オブジェクトの各ファセットに自動的に適用されます。
サーフェスが平らになるようにサーフェスの各面をレンダリングします。
[ペイント](Paint)が無効になっている(つまり、[ライト](Lighted)切り替えがオフ)場合、マテリアルのペイントされた領域はバックグラウンドと同じカラーです。このチェック ボックスにチェックマークが付いている場合、ペイント領域のバックグラウンドは、カメラとオブジェクト間のフォグによって影響を受けます。既定値ではチェックマークは付いていません。
オンの場合、インクとペイントの各コンポーネントが無効の場合でも、アルファ チャネルは不透明です。既定値ではチェックマークが付いていません。
オンの場合、バンプ マップを使用できます。数値による設定を使用して、バンプ量とマップ ボタンをコントロールし、バンプ マップを割り当てます。
オンの場合、ディスプレイスメント マップを使用できます。数値による設定を使用して、ディスプレイスメント量とマップ ボタンをコントロールし、ディスプレイスメント マップを割り当てます。
ペイントは、マテリアルのメイン カラーで、3 つのコンポーネントを含んでいます。このセクションでは、まずコンポーネントについて説明し、その後でそれらの共通のコントロールについて説明します。
オブジェクトのライトの当たる領域を塗り潰すカラーです。既定値はライト ブルーです。
このコンポーネントをオフにすると、インクを除き、オブジェクトが非表示になります。既定値ではチェックマークが付いています。
左: ライトを当てられたキャラクタ
右: [ライト](Lighted)と[ハイライト](Highlight)の両方をオフにして、インクだけをレンダリング
ペイント レベルの値を大きくすると、ライトの当たる領域に表示される基本カラーのシェード数が増加する
最初の数値による設定は、オブジェクトのライトの当たっていない側で表示される、[ライト](Lighted)のカラーのパーセントです。既定値は 70.0 です。
このコンポーネントをオフにすると、カラー見本が表示されるので、シェーディングされる領域に別のカラーを割り当てることができます。既定値ではチェックマークが付いています。
[シェード](Shaded)の値を大きくすると、シェーディングされる領域の彩度が増加する。[シェード](Shaded)を使用すると、シェーディングに別のカラーを割り当てることもできる
鏡面反射光ハイライトのカラーです。既定値は白です。
このコンポーネントがオフの場合、鏡面反射光ハイライトは適用されません。既定値ではチェックマークは付いていません。
左: ハイライトなし
右: ハイライトあり
[光沢](Glossiness)を大きくすると、ハイライトのサイズが小さくなる
カラー コンポーネントのコントロール
各ペイント コンポーネントにあるコントロールを次に示します。それぞれに、オン/オフの切り替え、メイン コントロール、右側に一連のマップ コントロールがあります。
ライトを当てられたコンポーネントのマッピング:
右奥: マッピングされていないオリジナル マテリアル
左: フォールオフ マップを適用してライトを当てられたコンポーネント
右手前: ビットマップ マップを適用してライトを当てられたコンポーネント
マップが割り当てられ、100 % で使用可能に設定されると、メイン カラー コンポーネントは完全に上書きされます。パーセント値を小さくすると、マップは指定したカラーでブレンドされます。
インクは、マテリアルの線画、つまりアウトラインです。
[インクの幅](Ink Width)以外のインク コンポーネントには、それぞれオン/オフの切り替えとカラー見本があります。カラー見本をクリックすると、[カラー セレクタ](Color Selector)が表示され、インク コンポーネントのカラーを変更できます。[インクの幅](Ink Width)を含む各インク コンポーネントには、一連のマップ コントロールもあります。
このチェック ボックスにチェックマークが付いている場合、レンダリングで「インク塗り」されます。チェックマークが付いていない場合、インク線は表示されません。既定値ではチェックマークが付いています。
左: インクを使用したレンダリング
右: インクをオフ
ブラシ シェイプと使用するサンプル数を決定します。値が 1 の場合、ブラシ シェイプは「+」(プラス記号)で、サンプルには 5 ピクセルの領域が確保されます。値が 2 の場合、ブラシ シェイプは八角形で、サンプルには 9 ~ 15 ピクセルの領域が確保されます。値が 3 の場合、ブラシ シェイプはほぼ円形で、サンプルには 30 ピクセルの領域が確保されます。指定できる範囲は 1 ~ 3 です。既定値は 1 です。
ピクセル単位のインクの幅です。[変更可能幅](Variable Width)がオンでない場合、[最小](Min)編集ボックスで指定します。[変更可能幅](Variable Width)がオンで、[最大](Max)編集ボックスも使用可能な場合、インクの幅は[最小](Min)の値から[最大](Max)の値までの間で変わります。既定値では最小 = 2.0、最大 = 4.0 です。
左: 1 ピクセルのインク幅
中央: 5 ピクセルのインク幅
右: 1 ~ 5 ピクセルで変化するインク幅
オンの場合、インクの幅は[インクの幅](Ink Width)の最小値と最大値の間で変化します。[変更可能幅](Variable Width)を設定したインクは、定数値幅のインクよりもやや滑らかに見えます。既定値ではチェックマークは付いていません。
インクの太さはマッピングすることができる
左: グラデーション マップでマッピングされた太さ
右: ノイズ マップでマッピングされた太さ
[変更可能幅](Variable Width)にチェックマークが付いている場合、シーンにライトを当てると、インク線が非常に細くなり、ほとんど見えなくなることがあります。その場合、[クランプ](Clamp)にチェックマークを付けると、インクの幅がライトの有無にかかわらず、常に[最小](Min)と[最大](Max)の値の間に保たれます。既定値ではチェックマークは付いていません。
オブジェクトの外側のエッジ部分のインクのうち、バックグラウンドまたは別のオブジェクトの前面に表示される部分です。既定値ではチェックマークが付いています。
左: アウトラインのみをレンダリング
右: オーバーラップおよびアンダーラップのみをレンダリング
オブジェクト自身がオーバーラップしている部分に使用するインクです。既定値ではチェックマークが付いています。
[オーバーラップ](Overlap)と似ていますが、近くのサーフェスではなく遠くのサーフェスにインクを適用します。既定値ではチェックマークは付いていません。
スムージング グループの境界間に描画されるインクです。つまり、スムージングされていないオブジェクトのエッジに対してインク処理を行います。既定値ではチェックマークが付いています。
異なるマテリアル ID 値間に描画されるインクです。既定値ではチェックマークが付いています。
サブマテリアル間のエッジをインク処理
インク コンポーネント([インクの幅](ink Width)、[アウトライン](Outline)、[オーバーラップ](Overlap)、[アンダーラップ](Underlap)、[スムージング グループ](SmGroup)、[マテリアル ID](Mat ID))ごとにマップ コントロールがあります。これらのコントロールは、前述のマテリアルのペイント コンポーネントのコントロールと同じ働きをします。
アウトライン コンポーネントとオーバーラップ コンポーネントを使用して、紙への描画をシミュレート