Biped、Physique、Crowd (群集)のシステムは、3ds Max と同時に動作し、キャラクタ アニメーション ツールの充実したセットを備えています。 これらのコンポーネントはさまざまな方法で使用できますが、一般的なキャラクタ アニメーションがどのように作成されるかを基本的に理解していると、character studio にアプローチしやすくなります。
この後の各項では、基本的なワークフローと、character studio の Biped と Physique を使用してキャラクタを作成する利点について簡単に説明します。以下に説明する手順すべてが必要とは限りませんが、通常は以下の順序で作業を行います。
まず、3ds Max のモデリング ツールとサーフェス タイプを選び、キャラクタの基本的なスキンの形状を作成します。このとき、両腕を広げ、両脚を少し開けた普通のポーズ全体を表示して、キャラクタのスキンを自然な位置に配置してください。また、動作時の変形を容易にするため、関節周辺のスキンのメッシュまたは制御ポイントに十分なディテールを追加することもできます。
Biped では、2 本足のキャラクタのスケルトンを自動的に作成できます。アニメーション作業中はいつでも、キャラクタの動きに不都合な影響を与えることなくスケルトンの構造やサイズに重要な変化を加えることができます。したがって、キャラクタの背の高さや体の大きさが分からなくてもアニメートすることが可能です。キャラクタのプロポーションを変更しても、アニメーションには影響ありません。
Biped スケルトンのポーズの詳細は、「Biped」を参照してください。
Physique のパラメータを調整し、スキンの動きによる効果を導入して目的どおりの特性にします。
詳細は、「Physique」を参照してください。
Biped 構造にスキンをアタッチした後は、Biped キャラクタを自由にアニメートし、現在のポーズに基づいてスキンの動きが自動的に更新されるのを確認できます。
また、別のシーン内で Biped アニメーション全体を展開し、最終的な動きに満足した時点で、最終的なスキンを持つキャラクタに適用する方法を選択することもできます。
Biped キャラクタとは、基本的にはキーフレーム、IK ゴール、および足跡を使用して自由に配置可能なボーンの階層が統合されたものです。Biped キャラクタは、3ds Max の回転ツールや変換ツールを使用して配置できます。
3ds Max 座標系の多くを、Biped の配置に使用できます。手足をその軸(ローカル X は常に Biped の手足に沿った軸)に沿って動かす場合は、ローカル座標が役に立ちます。どちらが上か明確でない場合は、ワールド座標が便利です。ワールド座標は、ホーム ベースとして使用できます。3ds Max では、ワールド Z 軸が常に上向きになります。
Biped には、キャラクタ モーションを簡単に作成するためのさまざまな方法が用意されています。作業では、これまでとまったく同じアプローチを使用できます。つまり、フリーフォーム モードで、異なるポーズ全体に対するキーフレームを手動で作成します。関節位置の間や IK 目標の間は、コンピュータが補間します。
部分的に補助されるアプローチを選択することもできます。この方法では、足跡と Biped ダイナミックを使用して既定値による歩行、走行、あるいはジャンプ サイクルを作成します。その後で、Biped のキーフレームと足跡を個別に調整します。
足跡を使用する場合、Biped ダイナミックは重力とバランスのシミュレーションを提供します。
特定の足跡のアニメーションと、それに対応するダイナミックな動きが目的どおりになると、足跡のアニメーションをキーフレームと IK ゴールの単純な組み合わせで構成されるフリーフォーム アニメーションに自動的に変換できます。この高度な変換により、キャラクタのあらゆる関節に対してフレームごとにアニメーションの動作を思いどおりに制御することが可能になります。
アニメーション レイヤは、グローバルな変化を既存のキャラクタ アニメーションに導入するための強力なツールです。たとえば、既存の走行動作の上に単独のレイヤを追加すると、上半身を立てた走行を前屈みの走行に変更できます。この場合、このレイヤには脊椎が前方に回転された Biped の位置が設定されたキーフレームが 1 つ含まれていると考えられます。レイヤによる変更は積み重ねることができるため、モーションの構成を微調整し、最終的にはレイヤを標準のフラットなキーフレーム アニメーションに集約することができます。
その場歩きモードでは、アニメーションの再生時、常にユーザの視野内に Biped を配置することができます。このツールを使用すると、キャラクタの動きに合わせてビューを連続して変更することなく、キーフレームを調節し、キーフレームをキャラクタに追加できます。
モーション キャプチャ ファイルは、BVH 形式および CSM 形式で読み込んで編集し、BIP ファイルとして保存することができます。これらのファイルは、足跡やダイナミックの有無に関係なく読み込むことができ、モーション フロー モードで他のアニメーションと組み合わせることもできます。
付属のモーション キャプチャのサンプルは、そのままの状態で使用することも、Biped の各種アニメーション ツールを使用しながら必要に応じて調整することもできます。CSM ファイルを介してモーション キャプチャ マーカー ファイルを character studio に直接読み込むことができるこの機能は、光学モーション キャプチャ データを後処理する手間を省きます。追加のプロップ ボーンを用いてモーション キャプチャ ファイルを読み込み、剣やクラブなどのオブジェクトの動きを定義することができます。
TRC ファイル同様、HTR/HTR2 モーション キャプチャ ファイルを読み込むこともできます。
モーション キャプチャ ファイルは、編集するトラックがより管理しやすくなるようにキーを削減して読み込むことができます。
トラック ビューでは、アニメーションのタイム ラインに合わせてキーと足跡を編集できます。
トラック ビューを[ドープ シート](Dope Sheet)モードで使用すれば、足跡を時間に合わせて移動できます。キャラクタを、足跡と足跡の間でより高くジャンプさせたい場合は、着地する方の足跡を時間軸上のより離れた位置に移動します。これで、キャラクタをより高くジャンプさせたときのダイナミックが自動的に補正され、キャラクタの滞空時間がより長くなります。
また、ドープ シートを使用して足跡アニメーションでフリーフォームの期間を指定することもできます。このため、アニメーションの一部に足跡とダイナミックの長所を活用し、フリーフォーム期間中は手動のキーフレームに切り替えることができます。この接地は、足が地面に着いたり離れたりするアニメーションが混合する場合に便利です。他にも、走行してダイビングする、歩いてから座るなどのアニメーションのタイプが例として挙げられます。
キーフレーム調整ツールにより、次のことができます。
キャラクタの腕や脚を別のオブジェクトの座標空間またはワールドに配置して、固定オブジェクトや移動するオブジェクトとの相互作用をシミュレートできます。たとえば、フリーフォーム モードでキャラクタの脚をワールド空間に配置すれば、キャラクタの重心をキーフレーム化するときに脚がスライドしたり動いたりするのを防ぐことができます。また、キャラクタの手をボールの座標空間に配置すれば、ボールの動きに合わせて手を動かすことが可能になります。
character studio では、3ds Max の各種ツールを利用できます。たとえば、選択してリンク ツールは、オブジェクトを Biped にアタッチするのに使用できます。
キャラクタがオブジェクトを拾い上げて運び、それを置く動作の場合、リンク コントローラを使用してアタッチの継続時間をアニメートできます。ピストンなどのキャラクタのサブアセンブリをアニメートしたり、Physique 用の追加リンクを作成する場合は、3ds Max のボーンを使用できます。
モーション Mixer では、Biped のモーションを組み合わせることができます。たとえば、歩くモーションと拍手するモーションを組み合わせて、拍手しながら歩く Biped を作成できます。
さまざまなアニメーション シーケンスを作成、変更し、それらを Biped モーション ファイル(BIP 形式)で保存した後は、モーション フロー モードを使用して、さまざまなモーション ファイルを組み合わせて、より長いアニメーションにすることができます。これらのアニメーションは、簡単にプレビューし、編集できます。モーション フロー モードでは、自動的にアニメーションを端から端まで配置するので、フリーフォームと足跡駆動型の両モーション ファイルを組み合わせることができます。また、連続する動きと動きの間のトランジションは自動的に作成されるため、アニメーションでオーバーラップするフレーム間を最初のパスでブレンドすることが可能になります。
モーション フローによるトランジションでは、速度補間を使用してクリップ間でシームレスなトランジションが作成されます。各種のブレンド パラメータ(トランジション開始フレーム、長さ、クリップ間の角度など)は、トランジション エディタを使用して変更できます。
優れたキャラクタ アニメーションは、キャラクタの全体的なパーソナリティを何度も繰り返し微調整した結果です。キャラクタのスキンの動きやアニメーション タイミングを何度も微調整しなければいけません。Biped と Physique では、3ds Max のモディファイヤ スタックや[元に戻す](undo)機能を活用することで、この反復プロセスを簡単に実行できます。
また、キャラクタ間でモーションをマッピングできる Biped の機能を使用すれば、優れたアニメーションを既存のキャラクタで置き換え、その動きを調整し、キャラクタのモチベーションと特性にふさわしい正確な動きを作成できます。
キャラクタまたはその他のモデル(はばたく鳥など)に対してアニメーション シーケンスを作成すると、そのキャラクタやモデルを複製し、群集システムを使用して動きをグループに適用することができます。また、与えられたさまざまな動きを組み合わせて、出口に向かう人の流れ、道での往来、鳥や魚の群れや障害を避ける様子など、群集の中で本物のような動きを作成することができます。モーション フロー モードを使用すると、モーション クリップ ネットワークを作成できます。これにより、キャラクタのアニメーション シーケンスが現在の動きに対して適切になり、シーケンス間のトランジションをスムーズにすることができます。また、さまざまな条件に基づく動作間のトランジションに対して群集の認識機能コントローラを使用することもできます。群集の動作に関する詳細は、「群集システムの作成」を参照してください。