次に NURBS を使ってモデルを作成する場合のヒントを説明します。
オブジェクトとサブオブジェクト
- 3ds Max では、NURBS モデルはさまざまなサブオブジェクトから構成される単一のトップレベルの NURBS オブジェクトです。単一のオブジェクトをトップレベルで作成し、ただちに[修正](Modify)パネルへ移動して、ロールアウトや NURBS 作成ツールボックスを使ってサブオブジェクトを追加する習慣を付けてください。
- サブオブジェクトは独立している場合も従属している場合もあります。従属サブオブジェクトは、他のジオメトリに関係する NURBS ジオメトリを構築するためにリレーショナル モデリングを使用します。ただし、モデルが従属する程度が高いほど、インタラクティブなパフォーマンスに時間がかかることを了解しておいてください。
- 一般にポイント カーブとポイント サーフェスは CV カーブと CV サーフェスよりも時間がかかります。トリムは従属の中で最も時間を要し、テクスチャ サーフェスは、従属サブオブジェクトの中では最も遅いものです。
- 従属サブオブジェクトがアニメーション中に変更されない場合、作成後にこのサブオブジェクトを独立させてパフォーマンスを向上させることができます。
- [サーフェスの選択](Surface Select)を使って、選択したサブオブジェクトにモディファイヤを適用することができます。ただし、この操作を行う前に、[リレーショナル スタック](Relational Stack)チェック ボックスにチェックマークが付いていることを確認してください。[リレーショナル スタック](Relational Stack)チェック ボックスは、NURBS モデルの[一般](General)ロールアウトにあります。このチェック ボックスにチェックマークを付けていなければ、[サーフェスの選択](Surface Select)では、サーフェスおよびサーフェス CV サブオブジェクト レベルのみ選択できます。
ショートカット、スナップ、ユーザ インタフェースのヒント
- [キーボード ショートカットの切り換え](Plug-In Keyboard Shortcut Toggle)ボタンを必ずオンにしてください。これがオンの間は、すべての NURBS キーボード ショートカットを使用できます。
- 最も役に立つ NURBS キーボード ショートカットは H です。これは [サブオブジェクトを選択](Select Sub-Objects)ダイアログ ボックスを表示します。このダイアログ ボックスは選択フロータのサブセットであり、サブオブジェクトの作成中、およびサブオブジェクトの選択中に使用できます。サブオブジェクトが複雑で見分けにくい場合に、これは便利です。
類似する機能を持つのが Ctrl+H で、これも[サブオブジェクトを選択](Select Sub-Objects)ダイアログ ボックスを表示します。しかしこれはマウス カーソルの位置の下方にある NURBS サブオブジェクトのみを一覧表示します。
- [グリッドとスナップ設定](Grid and Snap Settings)ダイアログ ボックスに特別な NURBS スナップがあります。このダイアログ ボックスを表示するには[3D スナップ切り替え](3D Snap toggle)を右クリックします。NURBS スナップを使う場合、[オプション](Options)の[軸コンストレイントを使用する](Axis Constraints)チェック ボックスのチェックマークを消してください。そうしないとスナップは現在の軸にしか作用しません。
また、ビューポートをアクティブにしておいた場合にのみスナップはそのビューポートに作用するということも忘れないでください。スナップの設定を選択しても、スナップはオンになりません。この場合も(ステータス バーの)[3D スナップ切り替え](3D Snap Toggle)ボタンを必ずオンにします。
スナップは 1-レールおよび 2-レール スウィープ サーフェスの構築用のカーブを作成する場合に特に重要です。
- NURBS モデルを右クリックすると、クアッド メニューに、サブオブジェクト レベルの変更やサブオブジェクトの作成を行ったり、他の編集コマンドを使用するためのショートカットが表示されます。
- NURBS を使って作業していると、[修正](Modify)パネル上にたくさんのロールアウトが表示されます。不要なロールアウトを最小化してください。たとえば、モディファイヤを適用していないときは、[モディファイヤ](Modifiers)ロールアウトを最小化すると便利です。また、U ロフト、UV ロフト、1-レール スウィープ サーフェスや 2-レール スウィープ サーフェスを作成する際に[サーフェス共通](Surface Common)ロールアウトを最小化しておくと便利です。
- ビューポートにエッジ面の表示をしないでください。エッジを表示すると単純なシェーディング ビューポートを表示する場合の約 2 倍時間がかかります。
カーブを作成
- CV カーブを作成する場合、3 回クリックすると鋭角のコーナーが作成されます。
ただし、複数の CV は計算量を増大させ、その結果、モデルのパフォーマンスと安定性を減少させることに注意してください。しかし、U ロフトなどを構築するためにこのカーブを使用する場合、このテクニックは最適なものです。
- 2 つの別々の NURBS カーブ サブオブジェクトの端点を融合しても、鋭角コーナーを作成できます。サーフェス構築のためにそれらのカーブを使用していない場合は、この方法を推奨します。
- カーブを作成している間に、[すべてのビューポートに描画](Draw in All Viewports)切り替えをオンにできます。このようにすると、3D でカーブが描けます。これによって、あるビューポートでカーブの描画を開始してから別のビューポートへ移動し、描画を継続することができます。
使用しているマウスに中ボタンがある場合、カーブを描画しているときに、[Alt]を押しながらマウスの中ボタンをクリックすると、[オービット](Orbit)を使ってビューポートの方向を変更できます。
- 特定の軸に沿って変換カーブを作成するには、適切な軸コンストレイントをオンにして、Shift + 移動で変換カーブのコピーを移動します。
カーブと方向
- NURBS カーブはその方向をビューポートに表示します。小さな円が最初の頂点を示します。カーブが閉じられている場合、プラス記号(+)がそのカーブの方向を示します。
カーブを使用してブレンド サーフェス、U ロフト サーフェス、UV ロフト サーフェス、1- レール スウィープ、2- レール スウィープを作図する場合、カーブの方向に注意してください。それらのカーブが同じ方向を向いていないと、奇妙なねじれが発生します。サーフェスを構築する前にカーブがすべて同じ方向を向いていることを確認してください。[カーブ共通](Curve Common)ロールアウトの[反転](Reverse)と[始点を選択](Make First)コントロールによって、カーブの方向と始点や CV の位置を制御できます。
カーブを正しく位置合わせする別の方法は、カーブを 1 つ描き、Shift + クローンで残りを作成することです。位置合わせしたカーブを作成後、CV を変形してサーフェスが準拠するカーブを変化させます。
ブレンド サーフェスを作成
- カーブ同士やサーフェスのエッジ同士をブレンドできます。トリムされたエッジはブレンドできません。その場合、サーフェスをトリムしたカーブからブレンドしていることになります。
- 制御可能な接線やテンションが必要な場合、サーフェス エッジやサーフェス カーブへブレンドしなければなりません。テンションを調整すると、そのブレンド部分の平面度や「隆起の度合い」が変化します。
カーブとサーフェスまたはサーフェス同士が隣接していると、しばしばどのエッジを選択しているかが分りにくくなります。選択されているものを分りやすくするため、現在選択されているサーフェスは黄色で表示されます。そしてブレンドに使用されるエッジは青で表示されます。ブレンドに使用するエッジを選択する前に正しいサーフェスを選択していることを確認してください。
- ブレンドするエッジのポイントの数が異なることがあります。通常これは[サーフェス近似](surface approximation)が異なって設定されているために起こります。この場合、レンダリングするとブレンド サーフェスと元のサーフェスの間にしばしばずれが生じます。これが起きたら、[サーフェス近似](Surface Approximation)ロールアウトに移動して、レンダリングの際のずれが消えるまで[合成](Merge)の値を増加させてください。
[合成](Merge)の設定はプロダクション レンダラーにだけ影響します。ビューポートの表示には影響しません。
ロフト
- 2 つのみのカーブ間のサーフェスが必要な場合は、U ロフトの代わりにルールド サーフェスを使用してください。この方が高速です。
- ロフトに時間がかかるような場合、([U ロフト サーフェス](U Loft Surface)ロールアウト内の)[作成しながら表示](Display While Creating)チェック ボックスにチェックマークが付いていないことを確認します。
- U ロフトが望んだ結果にならなかった場合、そのカーブのパラメータ設定を行ってください。[カーブ](Curves)サブオブジェクト レベルで[パラメータ再設定](Reparam.)をクリックします。このボタンは[CV カーブ](CV Curve)ロールアウトにあります。[パラメータ設定](Reparameterize)ダイアログ ボックスで、[コードの長さ](Chord Length)のパラメータ設定を選択します。
カーブが従属していたりポイント カーブだった場合、まずそのカーブを独立させてください。これはパフォーマンスも改善します。
カーブが 2 つの接合されたカーブから構成されている場合、通常よりもこの問題が発生しやすくなります。接合されたカーブをロフト構築のためのカーブに加える場合、ロフト作成の前に手動でその接合されたカーブのパラメータ設定を行うか、自動的にカーブのパラメータ設定が行われるように設定します。
- [カーブを編集](Edit Curve)ボタンによってサブオブジェクト レベルの変更なしに U ロフトや UV ロフトの中でカーブの CV を直接変形できます。[カーブを編集](Edit Curve)からは、カーブを制御するすべてのロールアウトにアクセスできます。たとえば、レベルを変更せずに、[リファイン](Refine)や[始点を選択](Make First)を使用できます。
- UV ロフトを閉じるには、再び V カーブを選択してから、これをロフトの最後のカーブにします。UV ロフトのこの位置で継ぎ目が見える場合があります。
マルチサイド ブレンド サーフェス
- 3ds Max がマルチサイド ブレンド サーフェスを作成しなかった場合、3、4 箇所のコーナーで CV を融合してください。互いに CV をスナップする方法は端数処理のため常にうまくいくわけではありません。
マルチカーブ トリム サーフェス
- マルチカーブ トリム サーフェスは、鋭角を含んだトリム穴を作成する唯一の方法です。
ディスプレイスメント マッピング
- 一般に、既定値の面分割設定は、ディスプレイスされたサーフェスには適しません。既定値の設定を使用した場合、ディスプレイス マッピングによって、きわめて多くの面数が作成され、パフォーマンスが非常に遅くなる可能性があります。サーフェス近似を必要な解像度で最も低いものに変更してください。最適な方法をおおざっぱに言うと、[間隔](Spatial)近似値を使って[エッジ](Edge)値を 20 にして開始します。それでは低すぎる場合、モデルが必要な程度見えるようになるまで[エッジ](Edge)値を減らしてください。
- [NURBS をディスプレイス](Displace NURBS)ワールド空間モディファイヤを使ってディスプレイスメント マップを実際にディスプレイスされたメッシュに変換できるため、ビューポートでディスプレイスメントの効果を確かめることができます。NURBS モデルのディスプレイスされたメッシュ コピーを作成するには、[スナップショット](Snapshot)を使用します。
腕と肩を接続
- この最も簡単な方法としては、サーフェスで CV カーブを作成するか、肩で法線投影カーブを作成します。それから腕を U ロフトとして作成してください。U ロフトの最後のカーブで、CV サーフェス カーブか法線投影カーブを選択します。次に[サーフェス カーブ接線を使用](Use COS Tangents)チェック ボックスにチェックマークを付けると、ロフト サーフェスが、腕と肩が接合した他のサーフェスと接します。
- このブレンドがねじれて表示された場合、[始点](Start Point)編集ボックスを使って U ロフト サーフェスを作っているカーブの最初のポイントを変更してください。
- U ロフトと他のサーフェスを接続させるには、U ロフトの最後のカーブを他のサーフェスに投影する方法もあります。[サーフェス上カーブを作成](Make COS)ボタンをクリックして投影カーブをサーフェス カーブに変換し、次に[U ロフト サーフェス](U Loft Surface)ロールアウトの[挿入](Insert)ボタンをクリックしてサーフェス上の新しいカーブを U ロフトの最後のカーブにします。サーフェス カーブをスケールしたり CV を移動して、必要な曲率やブレンドにします。