Stingray 1.1 (1.1.247.0)では、多くのエディタとワークフローへの改善が実施されています。このリリースでは、オートデスク 3D アニメーション ツールとの相互運用性を円滑にするだけでなく、Stingray レンダラー、Level Editor、アニメーション ツール、およびオーディオ ツールで包括的な更新が実施されました。また、この更新プログラムでは、追加の Android デバイス GPU のサポート、および最新の Oculus Rift SDK のサポートも提供されます。Scaleform Studio UI ツールの更新については、「Scaleform Studio ヘルプ」で Scaleform Studio 1.1 リリース ノートを参照してください。
このトピックのセクション:
このセクションでは、この Stingray の最新バージョンで使用可能となったすべての主要な新機能を説明します。
ここでは、解決済みのバグと既知の制限事項を、ワークフロー領域別に紹介しています。
このセクションでは、Stingray の最新リリースで判明している既知の新しい制限事項を説明します。
このセクションでは、Stingray の以前のバージョンで開始したプロジェクトの作業を行う場合に、最新バージョンに正常にアップグレードするための手順を説明しています。
Stingray のソース コードにアクセスできる場合は、このセクションで、このリリースでのマスター ブランチの新機能について確認してください。
画面の端付近で、画面空間反射レイをフェード アウトさせる代わりに、ベンドさせることが可能となりました。
透明なマテリアルで、マテリアルに屈折の入力を使用して、その背後にある不透明なオブジェクトを屈折させることができるようになりました。
一時的なアンチエイリアシングが改善され、よりシャープな結果が生成できるようになりました。
サブサーフェス スキャタリングの外観をシミュレートするために、Material Variable ノードで Density 入力値を使用してマテリアルを半透明にすることが可能になりました。
画面空間の AO パフォーマンスの向上とゴーストの削減
スカイドーム ワークフローの改善
スカイドームはフリーズしたレイヤ上に配置された、「Background」という名前の標準ユニットとなりました。これを削除した場合は、メイン メニュー バーから Create > Skydome を選択して、現在のレイヤ内に再作成することができます。
V-Ray マテリアルのサポート
次のファイル名プロパティを持つ V-Ray マテリアルからテクスチャ マップを読み込むことができます。
Explorer ウィンドウで新しい Layers ビュー(ホットキー: [L])を使用して、関連するレベル オブジェクトのグループを整理します。レイヤを利用して、レベル オブジェクトのグループを一括ですばやく選択、表示/非表示、フリーズすることができ、操作するオブジェクトを分離するのに役立ちます。また、多くのオブジェクトが含まれるレベルをさらに見やすく整理するために、タイプ別にレベル オブジェクトをフィルタできます。Layers ビューで作業を開始するには、 をクリックした後に、レイヤ間でオブジェクトをドラッグ アンド ドロップします。
新しい情報については、「レイヤでレベル オブジェクトを整理する」を参照してください。
Stingray と オートデスク DCC ツール(Maya、Maya LT、および 3ds Max)の間でライブ カメラ リンクを有効にすると、どのアプリケーションがアクティブであるかに応じて、マスター/スレーブとして動作するビューポートが自動的に切り替わります。最新情報については、「Maya、Maya LT、3ds Max との相互運用性」を参照してください。
Stingray の開始時に、キャラクタ テンプレート プロジェクトの更新バージョンが Project Manager で使用可能になりました。次の改善点があります。
Stingray エンジンでは、Qualcomm Adreno 330、Adreno 420、Adreno 430 チップセットを搭載した Android デバイスをサポートするようになりました。これらの GPU は、Google Nexus デバイス、Amazon Kindle HDX シリーズ タブレット、Amazon Fire フォン、Nokia Lumia デバイス、Samsung Galaxy デバイス、Samsung Galaxy Note デバイス、Sony Xperia デバイス、および LG G2/G3 スマートフォンなど数多くのデバイスに搭載されています。
Android ロボットは Google によって作成および共有された成果物から複製または修正され、Creative Commons 3.0 Attribution License で規定される条件に従って使用されます。
最新情報については、「サポートされるプラットフォーム」を参照してください。
Stingray では、iOS 9 ターゲットのみがサポートされるようになりました。この変更により、エンジン バイナリのサイズを大幅に縮小することができました。
これで、新しいライトのプロパティ Enabled を使用してライトの表示を切り替えることが可能になりました。このオプションを無効にすると、現在のレベルおよびゲームにおけるライトの効果がオフになります。
さらに、Level Viewport でライトを非表示にすると、ライトの視覚的な表現のみが非表示になるようになりました。ライトがオフになることはありません。
事前に割り当てられたマテリアルを使用したアセットの読み込みが容易になりました。FBX Import ウィンドウで新しい Shared Materials チェック ボックスをオンにした場合、Stingray ではそのアセットに対して既存のマテリアルがないかプロジェクトを検索します。一致が検出された場合は、Stingray では読み込み時にアセットに既存のマテリアルが適用されます。
新しい情報については、「テクスチャとマテリアルが含まれたモデルを読み込む」を参照してください。
レベルのユニットにマテリアルをすばやく割り当てるには、Asset Browser から Level Viewport のオブジェクトにマテリアルをドラッグ アンド ドロップします。また、オブジェクト上にカーソルを合わせて、マテリアルを割り当てる前にプレビューすることができます。
新しい情報については、「オブジェクトにマテリアルを割り当てる」を参照してください。
マテリアルの Property Editor 内で Make Unique をクリックすると、新しい Open Shader Graph ボタンが表示され、シェーダ グラフの編集を簡単に開始できます。「親マテリアルを作成する」を参照してください。
Asset Browser で利用できるフィルタリングと設定オプションが追加され、フィルタのオンとオフを切り替え、ファイル拡張子を表示し、検索条件で大文字小文字を区別するかどうかを設定できます。
さらに、フォルダ間で複数のアセットを一度に移動でき、右クリックして新しい空のマテリアルおよびアニメーション コントローラを作成できるようになりました。
View > Performance HUD メニュー(Level Viewport 内にある)の新しいオプションにより、ゲームのパフォーマンスのビジュアル デバッグがさらに簡単になりました。次のカテゴリの HUD 表示を切り替えることができるようになりました。
ゲームプレイ ナビゲーション モード(Level Viewport で右クリックして押したままにする)では、新しいホットキーによりカメラを上([Q])および下([E])に移動できます。
最新情報については、「Level Viewport でナビゲートする」を参照してください。
Property Editor で大量のスクリプト データを表示および編集できるようになりました。ユニット スクリプト データは、編集可能なツリー ビューに表示され、数値、文字列、ブール値をサポートしています。
さらに、複数のアセットを同時に編集することが可能となりました。たとえば、複数のライトを選択して、それらをすべて同時に調整します。
新しいドラッグ アンド ドロップ機能により、環境およびキャラクタにすばやくオーディオ ファイルを追加できます。Property Editor からオーディオ ファイルをアニメーション タイムラインまたはレベルに単にドラッグした後に、レベルを再生することなくエディタで直接プレビューします。フローのサウンドを微調整するには、サウンドを追加するときに作成される、対応するロジックを使用します。
Log Console ウィンドウに、Stingray の異なるコンポーネントからデータをフィルタで除外できるフィルタ ウィジェットが追加され、問題のデバッグが容易になりました。さらに、Project > Run を選択したときに発生するエラーと警告が Log Console に直接出力されるようになりました。「プロジェクトをテストして構築する」を参照してください。
Stingray に付属している Maya、Maya LT、および 3ds Max 用の PhysX プラグインのインストーラが、PhysX プラグインの最新バージョン、バージョン 3.3.10930.12522 をインストールするように更新されました。このプラグインには、NVIDIA によるいくつかの改善とバグ修正が含まれています。関連情報については、「DCC ツール用 PhysX プラグインをインストールする」を参照してください。
新しい Light プロパティ、Enabled を無効にして、現在のレベルおよびゲームにおけるライトの効果をオフにします。
このセクションでは、Stingray の既知の制限事項と回避策について説明します。
「修正事項」セクションに特に記載のない限り、このリリースには「Stingray 1.0 リリース ノート」に記載される「既知の制限事項」と同じ内容が適用されることにご注意ください。
GAME-9185: Stingray Editor で高密度 DPI モニタをサポートする必要がある
回避策: 高解像度ディスプレイで Stingray を使用する場合、ディスプレイ設定(コントロール パネルの[デスクトップのカスタマイズ]の設定)を[大 -150%]に変更します。
GAME-10794: 戦車車両のホイールに異なるシェイプとサイズがある場合にクラッシュが発生することがある
回避策: 車両を戦車タイプとして設定する場合(.physics json 内で vehicle_physics_model = "tank" と設定)、同じシェイプを使用して戦車のホイールを作成していることを確認してください。視覚的なメッシュで、さまざまなサイズが必要な場合は、物理ホイールの子として設定します。
GAME-10666: 新しく追加したとサウンドまたはイベントが、Stingray を再起動するまで機能しない
回避策: 新しいサウンド バンクを生成した後に、エンジンを再起動します(エディタを再起動せずに)。[Ctrl]+[F6]を押す、またはEdit > Engine > Restart Engine を選択する
GAME-10584: Configuration が「Release」に設定されている場合、Oculus プロジェクトをバンドル化できない
回避策: Deployer ウィンドウを使用してプロジェクトをパッケージ化する場合、Configuration を代わりに Develop に設定します。
GAME-10854: 古いレベルで透明なマテリアルが適切にレンダリングされない
回避策: レベルに光源を追加し、それをディレクショナルに設定します。
Stingray を含むオートデスク製品の完全なインストール ガイドが、Stingray オンライン ヘルプ(こちら)に含まれています。
このセクションでは、Stingray の旧バージョンを使用しているユーザ向けに、特定のアップグレード手順を必要とする改善点と修正事項について説明します。
Stingray では、iOS 9 ターゲットのみがサポートされるようになりました。iOS 向けの開発を行う場合は、Xcode 7 を使用するために Mac 開発マシンをアップグレードする必要があります。
Script Flow ノードでは、引数や既定で小文字にトランスフォームされる戻り値が使用されなくなりました。
バージョン 1.1 までは、入力値が小文字にトランスフォームされていました。たとえば、MyInputValue という名前の入力パラメータは、Lua スクリプト関数で t.myinputvalue として使用できました。同様に、ノード定義内の MyOutputValue という名前の戻り値は、r.myoutputvalue として Lua の設定に使用されました。バージョン 1.1 からは、.script_flow_nodes ファイルで指定した大文字と小文字の区別が維持されるようになりました。そのため、Lua で使用する変数は、t.MyInputValue および r.MyOutputValue のように設定する必要があります。
次の場合に、変更が必要となります。
プロジェクトの .script_flow_nodes JSON ファイルの入力パラメータまたは戻り値の名前に、任意の大文字を含む Script Flow ノードがある場合、
または、プロジェクトの .script_flow_nodes JSON ファイル、アニメーション コントローラ、またはレベル ストーリーに、名前に大文字を含むフロー イベントが使用されている場合。
Lua コードまたはノードのいずれかを変更して、どちらも同じ大文字と小文字の区別を使用するようにします。
このリリースのすべての新しいフロー ノード、変更されたフロー ノード、削除されたフロー ノードの完全なリストについては、「バージョン履歴」を参照してください。
プロジェクトに変更または削除されたフロー ノードが含まれている場合、旧バージョンのノードをすべて削除して新しいバージョンを再挿入し、グラフが適切に関連付けられていることを確認する必要があります。
主な変更点:
Stingray Appkit で利用できる Camera > Get Active Camera ノードはクエリー ノードとなりました。つまり、In および Out イベントが削除されました。このノードでは、下流のノードでその出力値が必要な場合に、必要に応じて出力値を取得でき、その使用がはるかに便利になりました。
Light ノードで、ライトを所有するユニットを指定できるようになりました。
HumanIK: HumanIK > Character Add Constraints > HumanIK Add Aim ノードの Reference Target Bone 入力は、ボーン インデックスはなく、文字列(ボーン名)となりました。
次のエラーは、プロジェクトに HumanIK Add Aim ノードの旧バージョンが含まれていることを示す場合があります。
Material > Get Mesh Material が Material > Get Mesh Slot Material に置き換えられました。
このリリースの Lua API のすべての新しい要素、変更された要素、削除された要素の完全なリストについては、「バージョン履歴」を参照してください。
プロジェクト内の API 要素が変更または除去された場合は、それに応じてコードを調整する必要があります。
主な変更点:
新しい Vector2 および Vector4 オブジェクト タイプが追加されました。これらは、複数フレームの値を格納するために独自の Vector2Box と Vector4Box オブジェクトを持つ、既存の Vector3 オブジェクトのような一時オブジェクトです。この変更は、特に Gui オブジェクトと LineObject オブジェクトに対して影響を与える点がいくつかあります。
カラーは、Quaternion オブジェクトではなく、Vector4 オブジェクトによって内部で表されるようになりました。stingray.Color() は Vector4 を返し、以前は Quaternion として表現されたカラー値を必要とした Gui オブジェクト内のすべての関数が、Vector4 を必要とするようになりました。
以前は、Gui.text_extents() など 2D サイズ値に対して Vector3 オブジェクトを返していた関数が、代わりに Vector2 オブジェクトを返すようになりました。これらの関数のいずれかを使用する場合、ご使用のコードが返されたオブジェクトを Vector3 ではなく、Vector2 値として処理していることを確認します。次のメッセージが表示される場合があります。
attempt to perform arithmetic on field 'z' (a nil value).
これは、ご使用のコードで、返された Vector2 値が引き続き Vector3 として処理されている可能性があることを示します。
2D サイズに対して以前は Vector3 オブジェクトを許容していた関数は、代わりに Vector2 オブジェクトが必要となりました。次のメッセージが表示される場合があります。
The size parameter for Gui functions is a Vector2 and not a Vector3.
これは、現在は Vector2 を要求する関数に対して、引き続き Vector3 を渡している可能性があることを示します。
2D Gui 関数の位置パラメータは、以前は常に 2D 位置と描画レイヤをグループ化する Vector3 でした。現在はレイヤ 0 (ゼロ)を使用する場合に、Vector2 を代わりに使用することができます。これにより、Vector3(x, y, 0) から Vector2(x, y) へのパラメータの初期化を簡素化できます。
ナビゲーション インタフェースのいくつかの項目が変更されました。それには GwNavBot オブジェクトと GwNavAStar オブジェクトなどが含まれます。
Stingray の Oculus プラグインが、SDK 0.7.0.0-beta を使用するように更新されました。
このプラグインを適切に実行するには、Windows 用の最新 Oculus ランタイムをダウンロードしてインストールする必要があります。さらに、ご使用のグラフィックス カードに VR ベータ版ドライバとの互換性があることを確認する必要があります。詳細については、https://developer.oculus.com/downloads/pc/0.7.0.0-beta/Oculus_Runtime_for_Windows/ を参照してください。
これは主要なリビジョンであるため、以前の VR テンプレートは機能しなくなります。新しいテンプレートを使用するには、以前のプロジェクトを移植することが要求されます。
Data Compiler コードが簡素化されたため、.render_config リソース用の .package ファイルは自動的に生成されなくなりました。
プロジェクトまたはプラグイン用にカスタム .render_config ファイルを作成している場合は、.render_config ファイルと同じフォルダ内に同じ名前を使用して .package ファイルを作成します。その .package ファイルで、ファイル拡張子を付けないで、.render_config ファイルへのフル パスを追加します。
render_config = [ "<full path to render_config>" ]
たとえば、既存のファイル「core/stingray_renderer/renderer.render_config」の場合、新しいファイル「core/stingray_renderer/renderer.package」に次の内容を追加します。
render_config = [ "core/stingray_renderer/renderer" ]
この更新をしない場合は、データ コンパイルがパッケージ ファイルが見つからないというエラーで失敗します。
Stingray のリポジトリが、明確性と整合性を改善するために再編成およびリファクタリングされました。
ビルド プロセスで生成されたファイルは、build/binaries 下に格納されるようになりました。
make.rb スクリプトにより、要求したビルド設定を実行するために必要なすべての依存関係の最新バージョンを使用して、ライブラリ フォルダが自動的に更新されるようになりました。現在、エンジンおよびエディタの完全な Windows ビルドを実行するには、引数を使用しない make.rb を実行するだけで済みます。
1.0.1 バージョンに実際に導入された Stingray Package Manager (または spm)は、サードパーティ製ライブラリの従属関係の管理を簡素化します。これは最新のライブラリ要件を維持するために、Stingray ビルド システムによって自動的に使用されます。ユーザもコマンドラインから呼び出すことができます。詳細については、「開発者用ヘルプ」を参照するか、spm --help を実行してください。