[トラックの選択](Track Selection)ロールアウトでは、Biped の重心(COM)を操作する特殊なツールを利用できます。
重心オブジェクトは Biped 階層のルートになっており、Biped 構造全体を制御します。重心オブジェクトの位置や方向を変更すると、Biped 全体に影響が及ぼされます。これは、Biped のポーズ付けやアニメートを行う上で重要なポイントになります。このロールアウトには、左右対称な Biped ボディ パーツの両側や反対側を選択するツールも用意されています。
COM はさまざまな方法で選択できます。
Biped の重心を選択したら、変換ギズモを使って、重心を移動したり回転したりできます。Biped が、道具を持ったやや大きなサイズのモデル内にある場合、ビューポート内で重心を選択しにくくなることがあります。この場合は、[トラックの選択](Track Selection)ロールアウトのツールを使った方が、COM をより軽快に制御することができます。Biped の四肢のいずれかを選択している場合、[トラック選択](Track Selection)ロールアウトから COM ツールをアクティブにすると、重心と適切な変換ギズモが自動的に選択されます。
[セット キー](Set Key)や[オート キー](Auto Key)を使って COM の位置や方向にキーを設定すると、アニメーション データがそれぞれの Biped 変換トラックに格納されます。
Biped の変換トラックには、COM キー データが含まれます。
COM の位置と方向を編集するには:
COM の位置に移動変換ギズモが表示されます。X 軸と Y 軸は Biped の水平方向変換トラックを参照しているので、ハイライト表示されます。
Biped の COM の中心に配置された変換ギズモ
[ボディ水平方向](Body Horizontal)がオフになり、[ボディ垂直方向](Body Vertical)がオンになります。
3ds Max は、移動変換ギズモを回転変換ギズモに置き換えます。Biped の方向を変更する準備ができました。
Biped の COM トラックをすべてロックするには:
この手順では、前の手順に続いて複数の COM トラックを同時に選択し、ロックします。
[COM キーをロック](Lock COM Keying)では、すべての重心を同時にアクティブにすることができます。
COM トラックの制御が無効になります。[COM キーをロック](Lock COM Keying)が選択されたコントロールを記憶していることに注意します。
COM キーをロックすると選択されたコントロールが復元されます。
COM 以外の基点を中心に Biped を回転するには:
この例では、Biped の脚を中心に回転して、Biped を転倒させる方法を説明します。
ここでは、脚付近の基点をクリックします。
[ボディ回転](Body Rotation)が回転軸にフォーカスしている間、[ボディ水平方向](Body Horizontal)と[ボディ垂直方向](Body Vertical)は重心の変換軸を参照します。これらのオプションをオンにすると、変換ツールの使用、または[座標表示](Coordinate Display)領域への値入力により、COM を移動したり回転したりできるようになります。
[ボディ水平方向](Body Horizontal)または[ボディ垂直方向](Body Vertical)をアクティブにすると、バランス係数、弾道の張力などの高度な Biped ダイナミック パラメータにアクセスできるようになります。これらのパラメータは、[キー情報](Key Info)ロールアウトや[ダイナミック & 適合](Dynamics & Adaptation)ロールアウトから制御できます。
COM トラックのアニメーション キーは、次のカラー コードで表示されます。
キーのカラーは、キー設定された COM トラックを反映しています。
重心を選択し、水平 Biped モーションを編集します。
ボディ水平方向トラックには、Biped の方向を自動的に決定してバランスを維持するバランス係数パラメータがあります。このパラメータによって、Biped が前後または横方向に傾いたときに骨盤の位置を変更する手間を省くことができます。
重心を選択し、垂直 Biped モーションを編集します。
ボディ垂直方向トラックでは、[ダイナミック ブレンド](Dynamics Blend)パラメータを使用して足跡のアニメーションの重力を制御します。[ダイナミック ブレンド](Dynamics Blend)の値として 1.0 を使用すると、Biped の空中における軌道の計算に重力加速(グローバル重力値)の値が使用されます。Biped を空中に配置するためのキーフレームは不要です。軌道は自動的に計算されます。ダイナミック ブレンドの値を 0.0 にすると、Biped の垂直方向の位置に対してスプライン ダイナミックが使用されます。この場合は、Biped を垂直方向に配置するためにキーフレームを作成しなければなりません。
また、ボディ垂直方向トラックには、弾道の張力パラメータもあります。このパラメータでは、Biped が着地したときに、膝をどの程度曲げるかを制御します。したがって、着地後の Biped の最も低い位置のキーを作成する必要はありません。軌道は自動的に計算されます。
重心を選択し、Biped 回転モーションを編集します。
COM 以外の基点を中心に Biped を回転することができます。この方法については、上記の手順セクションを参照してください。
オンの場合、複数の COM トラックを同時に選択できます。ロックしたトラックはメモリに格納され、COM を選択するたびに呼び出されます。
Biped の一方の側にあるオブジェクトに対応する反対側のオブジェクトを選択します。たとえば、右腕を選択している場合に[シンメトリ](Symmetrical)をクリックすると、左腕も選択されます。この後、ボディの両側を同時に変更することができます。[シンメトリ](Symmetrical)は複数の Biped パーツにも適用できます。
Biped の一方の側にあるオブジェクトに対応する反対側のオブジェクトを選択し、現在選択されているオブジェクトを選択解除します。たとえば、右腕を選択している場合に[反対](Opposite)をクリックすると、左腕が選択されて右腕は選択解除されます。[反対](Opposite)は、単一または複数のオブジェクトに適用できます。